中学生相手に、レク指導してきました。

教育

 地域の親父としてレク指導を中心に、社会教育のボランティアをしていることは以前(6/6)ちょっと書きました。今日は、その活動の今年度1回目があり、1時間弱ですが、久し振りにがっつりファシリテーターしてきたので、その実践内容をシェアしたいと思います。

ワシが考える”レク指導”とは?

 学校でも、社会教育現場でも、ワシにとってレクとは、一言でいえば「人と交流する心地よさ味わい、結果としてコミュニケーション能力や、社会性が伸びる活動(場)」です。もう少し具体的にメリットを挙げてみると・・・

  • 楽しいから、人と関わることが好きになる。
  • コーディネーターやルールに従うことで、みんなが安心して楽しめると体感する。
  • 所属感や連帯感が育まれる。
  • 歌・踊り・運動・発声などで、体力の向上やストレスの発散が期待できる。

 …といったとこですが、小さい子やお年寄りにとっては、さらに多くのメリットが生じますね。

ワシ流、レク・コーディネーション

 レクをコーディネートするとき、基本情報としてワシが抑えるのは以下の6点。

  1. 人数
  2. 年齢構成(レク経験の程度)
  3. 対象集団の関係性(互いをどの程度知っている仲なのか?)
  4. 場所(室内・外、広さ、安全性など)
  5. 時間
  6. 目的(楽しむだけで良い?、チームワークの醸成?)

 これに応じて、用意し、組み合わせるアクティビティーは、主に4種類。

  1. アイス・ブレーキング(緊張ほぐし、場を和ませる)
  2. ディインヒビタイザー(心の抑制を外し、自分を開示しやすくする)
  3. イニシアティブ(課題解決を目指して仲間同士の連携・協調性を高める)
  4. トラスト(互いの信頼度を高める)

 これらは、「プロジェクトアドベンチャー」という、系統的な教育プログラムの学習会で学んだものですが、ワシ流にアレンジしながら取り入れているので、本家のものとはだいぶ違っているかもしれません。

今日の実践

 ワシが実行委員をしている事業は、応募してきた市内の中学生を、年間5回程度のさまざまな活動(「研修」と呼んでいます)を通して、地域の未来を背負うリーダーとして育てようというもので、30年以上の歴史があります。でもって、今日が、今年度の第1回だった訳ですが、本日の条件はこんな感じでした。

  1. 人数:40数名
  2. 年齢構成:初参加の中1〜ほとんどが中1から参加している2・3年性
  3. 2・3年生同士はある程度顔見知りだが、中1は学校が違えばほぼ初対面
  4. 多目的室(バスケコート程度の板張り)
  5. 1時間程度
  6. 「今後の研修をこのメンバーで楽しくやっていこう」という思いが芽生える

 今年は、例年になく多くの応募があり、本当に驚きました。少子化と個別化の影響で、年々参加人数は減少しており、何度も再募集をかける程だったからです。コロナの影響が大きいのでしょうね。。。

 開校式→講話→規律訓練と、例年通りの進行をした後、昼食前の1時間。さて、どう組立てたかと言いますと。。。

①王様ジャンケンから心理クイズでアイスブレーキング

 実際に始まったら、コーディネーターが心がけなければならないことは、“穏やかな笑顔や口調”そして“テンポの良い進行”です。簡単な自己紹介をしたら「ジャンケンしよう!はいジャーンケーンポイ!ストップ!今、何出したか覚えておいてね」と、いきなり始めます。その後、出したジャンケンごとに立ってもらい、笑いをとりながらイジるのです。

<グーの人>

 「さぁ、立っている人たちに、どんな共通点があるのでしょう?深く考えずに出した”グー”には必ず、その人の深層心理が影響しているはずです。(もちろんはったりです)よく見てやってください、この人たちの顔。どことなく頑固そうではないですか?そう!この人たちはとても”意思の硬い人たちなのです”。この人たちからお金を借りてはいけません。いえ、おそらく貸してはくれないでしょう。。。」

<チョキの人>

 「はい、この方々。どうですか?いかにも、計算高そうに見えませんか?そうです。この人たちに決してお金を借りてはいけません。借りを作ってしまったが最後、必ずや何倍もの見返りを要求されるに違いないからです。。。」

<パーの人>

 「待ってました!パーの皆さん!この方々は、もちろんパ…いやいや、心が開放的な方々でいらっしゃいます。お金を借りるなら、迷わずこの人たちに声をかけましょう!。。。」

 …と言った具合です。もちろん、よく知らない相手をイジるのはリスクもあります。冗談が通じずに嫌な思いをする子がいないとも限らないからです。笑顔で優しく語りながらも、最新の注意を払って、参加者の表情を観察する必要があります。また、悪口で終わらず、「でも、こういう人達のおかげで…」と、持ち上げて終わるよう、心がけています。でも、今回は、流石にこのような事業に申し込んできた子供たちだけあって、大変和やかに進みました。

 その後、直前にググった心理クイズネタ(いらないぬいぐるみをどうするかで、人付き合いの特徴が見える…というもの)を一つやったところで、アイスブレーキングは終了としました。”つかみはOK”だと判断したのです。

②グループに分かれて、「クイズ〇〇さんの気持ち」

 ①で10分くらいだったと思います。ここからは、アイスブレーキングとディインヒビタイザーの中間ぐらいのアクティビティーです。

 4〜5人のグループに、高校生リーダーが1人ずつついていました。彼らは、この研修を卒業しても尚、高校生としてワシら実行委員の手伝いや、自主的なボランティア活動などをしている頼もしい若者たちです。そこで、彼らをファシリテーターとして、”研修生1人が連想したことをみんなで当てる”という、言わば”自己紹介&個別クイズ”といった活動をすることにしたのです。

 グループの中学生Aさんが、簡単に自己紹介をした直後、高校生リーダーは、「では、そんなAさんが、好きな教科はなんでしょう!」などと、その場で考えたクイズを出し、みんなでそれを当てます。時間をかけても仕方のないことなので、数秒で答えを決めさせ、全員が同時にそれを声に出します。緊張感が残っている現段階で、一人一人に回答させると、言葉に詰まってしまう子もいます。しかし、「せーの」で同時に叫ぶという方法なら、とりあえず何か言おうとするし、たとえ言えない子がいても誤魔化せるゆとりが与えてあげられるのです。(もちろん、マスクをし、ソーシャルディスタンスを保ってのことですよ)

 当てることが目的ではありません。優れたファシリテーターなら、「えー!絶対数学だと思ったのに!」とおどけてみたり、「なんで、歴史が好きなの?」などと、その子への関心を煽ったり、キャラを掘り下げたりするでしょう。7人いた高校生たちは、そこそこ盛り上げてくれていました。ワシは、個人的な用事のため午前中で、帰りましたが、高校生の指導を担当している指導員には、事後反省会をして、高校生としてのスキルアップや、気になった中学生などの情報交換をしておくことを勧めておきました。

 しばらくすると、あちらこちらのグループから、楽しげな笑い声が聞こえてきました。残された時間は、20分。

③ここで簡単なイニシアチブゲーム「サイレント・ラインナップ」

 十分に場が暖まったので、別の指導員にバトンタッチしました。30代の若手指導員ですが、彼もこの研修の卒業生で、熱心なことにワシが取得しなかった「青少年団体指導者の上級」を取得している若頭的存在です。彼が打ち出したのは、コーディネーターの指示通りに各グループで並び順を変える速さを競う「ラインナップ」の応用篇、「サイレント・ラインナップ」でした。要するに、「誕生日の早い順!」と言われても、声を出さずにコミュニケーションをして、できるだけ早く誕生日順に並び直さなければならないというわけです。これは、イニシアチブとしては簡単なもので、このタイミングには丁度良いし、コロナ対策としてもベストなチョイスと言えるでしょう。ワシは、俯瞰的に全体の積極的な様子を見て、最後にもう一つイニシアチブをやることを決めたのでした。

 

④「グループ・リズムボックス」

 これは、音楽科の教師でもあるワシの、オリジナルアクティビティーで、名前もその都度変わるほど、いい加減なものです。m(_ _)m

 1グループ4人がベストですが、♩=100くらいのゆっくりなテンポに合わせて、16部音符(1拍に4つ)を正確に打つことが目的です。8部音符程度なら、2組に分かれ、交互に等間隔の手拍子をうてば良いのですが、1拍に4人の手拍子が等間隔にぴったり収まる。しかもそれが、何拍も安定して続く…となると、かなり難しいものです。上手にやるためのコツは色々とあるのですが、この「色々な方法がある」という点こそ、個性的・主体的な課題解決を促す重要なポイントなのです。

 今回は、「4分音符→8分音符が合格したら、いよいよ16分音符に挑戦できる」ということにして、次々にテストを受けて競い合うムードを作りました。10分では、短いかと思っていましたが、1つのグループは、テンポキープに自信のある女の子が、メトロノームがわりに足で8分音符を刻み、これに合わせて手拍子を回して、成功することができました。中には、4分音符に戻って、テンポや4拍子の感覚を確かめ始めていたグループもあり、感心しました。時間があれば、このような優秀な表れを全体に紹介し、「誰が考えたの?すごいね!」「でも、それを受け止めて『よし、やってみよう!』って行動した仲間も素敵だよね!」などと褒めちぎり、リーダーシップとフォロワーシップの両方が大切なことを知らしめたいところです。

 さて、40人を超える初顔合わせの中学生相手に、どこまでできるか、不安もありましたが、なかなかうまくできました。どこの馬の骨ともしれぬ親父の話に耳を傾け、まだよく知らない者同士で、前向きに良い雰囲気を作ろう!としてくれた彼らや、そのように育ててくれた親御さんたちに感謝です。

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