“無料の歌声合成ソフト”として、2月に一般公開され、関心のある人の中では話題となっているNEUTRINO(たぶんニュートリノ)を扱ってみたので、”音楽教師による教材開発ツール”という目線でレビューを書いてみます。
ソフトの概要と可能性
以前も書いたとおり、パソコン使いの音楽教師として、ボカロは興味をそそるツールでした。その、無料版が出たとなれば、試さぬ理由はない!…というわけで、使ってみました。無料版というだけあって、インターフェイスは“万人向け”ではない…いや、むしろパソコン活用上級者向けと言えます。
簡単な作業手順
詳しい手順は、ほかのサイトにもあるし、一般の教員には関心の薄いところだと思いますので、簡単に作成の流れを書きますと。。。
- プログラムのダウンロード
- 音楽データ(MusicXML)の作成・保存
- 作業プログラム(バッチファイル)の書き換え
- プログラムの実行
- 作成された音声データを再生
…ほら、もう嫌になりましたね。まぁ、無料ですから…。「ソフト」ではなく「プログラム」と書いたのも、そこまでユーザーに優しい作りになっていないからです。
ダウンロードした圧縮ファイルを解凍したフォルダ内です。上から5つ目の「score」フォルダの中に手順2で作成した歌詞付きの楽譜データを保存します。マニュアルではMusescore3という、フリーソフトが紹介されており、このソフトはワシも長年使っている(『フリーソフトはダメ』という教育委員会のストップがかかるまでは、授業で子供の作業ツールとしても使っていました)ので、すんなり作成できましたが、はじめての方はこれのインストールやスキルアップで1日目が終了…となることもあるでしょう。。。
下から2つ目のバッチファイル(一連の作業命令がまとめられたもの。プログラム)は、<あそこにある楽譜データを読んで、この声でいい感じの歌にして、再生可能な音楽データとして保存しなさいね>という作業プログラムです。この”あそこ”が、前述の「score」フォルダで、ダウンロード直後は、この中のサンプルデータ(「春が来た」の楽譜)を読み込むコマンド(命令)になっています。そこで、このサンプルのファイル名を自分が作成・保存した楽譜データのファイル名に書き換えてあげるということ。ただ、バッチファイルは、ウィンドウズのアクセサリーとして必ず入っている「メモ帳」で編集(ファイル名を文字として打ち直すだけ)できるので、この作業自体は簡単ですよ。上書き保存もわすれずに。
でもって、<私が作った楽譜を読んで音声データにするのですよ>という内容に、書き換えたバッチファイルを満を持して実行すると、今度は「output」フォルダの中に、自分が名付けたファイル名のwavファイル(CDで使われるデータ形式)ができているので、これを再生するのです。
これは、普段授業で行っている「リズム遊び」を本ブログで紹介するための素材として作ってみました。最初のリーダーとなった子が、リズムに合わせて呼びかけるフレーズなので、はっきりとしたメロディーがなく、かえって難しかったです。サンプルの「春が来た」も載せておきますね。
教材ツールとしての使い道
ワシが「リズム遊び」の出だしフレーズを作りたいと思ったのは、このブログで音楽教師向けのハウツーコンテンツをつくるのに、実際の子供の声や動画は使わないほうがいいと思ったからです。では、授業での使い道は…と、考えてみると。
- 範唱音源の作成(CDなどの音源がない場合)
- 子供の創作活動ツール
- プログラミング学習
…くらいしか浮かばない…。授業で使う題材曲なら、だいたい範唱CDは手に入るから、「1」をやるなら、むしろ特活として歌う曲かなぁ?運動会の応援歌とか、レクソングやキャンプソングとか…。でも、楽譜データの打ち込みより、ギター伴奏しながら直接担当の子供に教えたほうが早いなぁ。
「2」の方がまだ価値があるかも。2~4小説の歌を創る活動をMusescoreでやらせたことは、小学校でも中学校でもあります(特別支援学級の子も大好きでした)。楽器演奏の苦手な子も、マウスで音符を張りつけさえすれば、その通りに演奏してくれるので、大変意欲的に取り組むんです。楽譜の知識なんかなくても、コンピュータは、何度でも簡単に再生してくれるので、トライ &エラーを繰り返しているうちに、自分が思っている曲になっていきますし、それを使って事後指導や価値づけをしてあげれば、まさに主体的な学習が成り立つのです。30人規模の学級ではきついですが、子供が創った楽譜データを使って、教師がボカロサウンドにしてあげたら、子供たちはきっと大喜びするんじゃないかな?興味を持った子には、関連サイトをおしえてあげれば、スーパーチャイルド・クリエーターの誕生もあるかも?
現在のワシの職場の担当から言えば、「3」が一番イメージできます。“教材開発ツール”というより、“プログラムそのもを教材として使う”ということですね。ワシは、今年も「パソコンクラブ」を担当するし、メンバーは10人に満たないから、いける!…って…あっ!…、これもフリーソフトと言われればアウトじゃん!これまでの流れを考えれば許可が出る可能性は薄いし、根性出して食らいついたら嫌な思いをするかもだし、ヘタすりゃ校長が叱られちゃうかも…?いや…でも、クラブ活動だし、完全なネイティブソフト(OS上にインストールして動作させるソフト)じゃないし、ウィルス対策ソフト通してるから、もしかしたら校長が『いいよ。やっちゃいな!』って言ってくれるかも…。
ま、、、玉砕覚悟の軽い気持ちで、校長に話してみよっと。。。この記事を見て、実践した方がいらっしゃいましたら、ぜひコメントください。
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